プロンプトの書き方のコツ|ChatGPTに仕事で使える答えを出してもらう型と例文【中小企業向け】
プロンプト(AIへの指示文)は、書き方を少し変えるだけで返ってくる答えが大きく変わります。OpenAI・Google・Anthropicの3社が公開している公式ガイドをもとに、仕事ですぐ試せる書き方のコツを例文つきでまとめました。うまくいかないときの直し方や入力してはいけない情報も紹介しているので、明日の業務から安心して使えるはずです。
📋 目次
プロンプトの書き方で答えが変わる理由
生成AIの答えがいまひとつなとき、多くの場合は性能より渡している情報の量に原因があります。まずは考え方の土台を押さえておくと安心です。
AIは優秀だが事情を知らない新入社員
Claude(クロード)を開発するAnthropic(アンソロピック)は、公式ガイドの中でAIを新入社員にたとえています。優秀でも、職場のルールや仕事の進め方は何も知らない新人です。新人に「いい感じにやっておいて」とだけ頼んでも、何をどこまで進めればよいか迷ってしまうでしょう。AIもまったく同じ状態です。ほしい内容を詳しく説明するほど結果がよくなる点も、同じガイドで示されています。新人に仕事を教えるつもりで、相手・目的・長さを言葉にしてみてください。指示文を書く手間は少し増えても、聞き直す回数が減るぶん、トータルの時間は短くなるはずです。
ありきたりな答えの原因は伝える情報の不足
「AIを使いこなせないのは自分のせいかもしれない」と落ち込む必要はありません。Anthropicのガイドは、書いた指示文を事情を知らない同僚に見せて確かめる方法を勧めています。同僚が首をかしげる指示文なら、AIも同じ箇所で迷うはずです。例えば「お詫びメールを書いて」の一行だけでは、AIに足りない情報は3つあります。
- 誰に宛てたメールか
- 何が起きて謝るのか
- どのくらい丁寧な口調にするか
3つとも、書いた本人の頭の中にしかない情報です。足りない情報を足すだけで、答えの質は目に見えて変わります。
公式ガイドに共通するプロンプトの書き方の基本
プロンプトの書き方に、特別な技術や専門用語は必要ありません。頼りになるのは、生成AIを提供する3社の公式ガイドに共通する基本です。
役割・作業・背景・形式の4要素
Googleは一般の利用者向けのガイドで、プロンプトを4つの要素で考える方法を紹介しています。ガイドでの呼び方はペルソナ・タスク・背景情報・形式です。わかりやすい言葉に置き換えて、表にまとめました。
| 要素 | 伝える内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 役割 | AIに誰として答えてほしいか | あなたは地域の工務店の広報担当です |
| 作業 | してほしい作業の中身 | お客様向けのお知らせ文を書いてください |
| 背景 | 目的・相手・経緯などの事情 | 年末年始の休業日を常連のお客様に伝えたい |
| 形式 | 長さ・口調・出力の形 | 200字程度で、やわらかい口調にする |
OpenAIとAnthropicの公式ガイドにも、役割や指示の中身、背景を伝える考え方が書かれています。Googleのガイドによると、毎回4つすべてを入れなくても、いくつか入れるだけで効果があるそうです。まずは役割と形式の2つを足すだけでも、答えの印象は変わります。
参考:Google Workspace「効果的なプロンプトの書き方」/OpenAI「Prompt engineering」/Anthropic「Prompting best practices」
目的と理由をひと言添えるコツ
4つの要素に加えて、Anthropicのガイドが勧めているのが「なぜそうしてほしいのか」を添える書き方です。理由がわかると、AIは指示の意図をくみ取り、書いていない部分まで方向をそろえてくれます。例えば「専門用語を使わないで」より、「取引先の年配の担当者にも伝わる言葉で書いてください。紙に印刷して渡すためです」と書くほうが言葉選びがぶれません。「〜しないで」と禁止するより「こうしてほしい」と望む形を書くほうが伝わる、と同じガイドは説明しています。禁止だけを並べると、AIは何を書けばよいかわからず、無難な答えに寄ってしまうかもしれません。「〜しないで」と書きかけたら、望む形に言い換えてください。
そのまま使える穴埋め式テンプレート
4つの要素と目的を、穴埋め式のテンプレートにまとめました。【 】の中を自分の業務に合わせて書き換えるだけで使えます。
あなたは【役割:例)地域の工務店の広報担当】です。 【作業:例)お客様向けのお知らせ文】を作成してください。 ■背景 ・目的:【例)年末年始の休業日を伝える】 ・読む人:【例)常連のお客様(年配の方が多い)】 ・伝えたいこと:【例)休業期間と、急な修理の連絡先】 ■形式 ・長さ:【例)200字程度】 ・口調:【例)やわらかく丁寧に】 ・出力の形:【例)タイトル1行+本文】 わからない点があれば、書き始める前に質問してください。
最後の1行は、情報が足りないときにAIのほうから質問してもらうための一文です。全部を埋めなくても動くので、空欄が残ったら消して使ってもかまいません。慣れてきたら背景の項目を自社の事情に合わせて増やすと、答えの精度がさらに上がります。
仕事の場面別プロンプト例文
続いて、テンプレートを中小企業でよくある4つの場面に当てはめた例文を見てください。例文はすべて架空の内容です。一行だけの指示と比べると、足した要素の違いがよくわかります。
取引先へのお詫びメール
よくある一行の指示を、まず見てください。
取引先へのお詫びメールを書いて
4つの要素を足した指示文はこちらです。
あなたは製造業の営業担当です。 取引先への納期遅れのお詫びメールを作成してください。 ■背景 ・相手:長く取引のあるA社の購買担当者 ・経緯:部品の入荷遅れで、納品が3日遅れる ・目的:信頼を損ねず、新しい納品日を伝えたい ■形式 ・300字程度 ・事実を簡潔に、誠実に伝える口調 ・件名もつける
相手との関係と経緯を伝えたので、謝る温度感と書くべき中身がはっきりしました。口調を「事実を簡潔に、誠実に」と望む形で書いたぶん、言い訳が並ぶ文面も避けられます。送る前には、日付や社名が正しいかを必ず自分の目で確かめてください。
お店やイベントのSNS告知文
一行の指示は「イベントの告知文を書いて」の形が多いでしょう。読む人と形式を足すと、SNSにそのまま使える文面に近づきます。
あなたは伊豆の小さなカフェの店主です。 Instagramに載せる週末イベントの告知文を作成してください。 ■背景 ・イベント:土曜に開く、地元野菜を使ったランチ会 ・読む人:近所の常連さんと、観光で訪れる人 ・目的:予約を受け付けていると知ってほしい ■形式 ・150字程度 ・親しみやすい口調、絵文字は2つまで ・最後にハッシュタグを3つ
文字数やハッシュタグの数を指定しておけば、投稿画面に貼る前の手直しが少なくて済むのも利点です。お店の雰囲気を伝える言葉はAIに任せきりにせず、自分の言葉を一言足すとお店らしさが残ります。
会議メモからの議事録づくり
議事録づくりでは、指示とメモを区切って書くのがポイントです。OpenAIとAnthropicの公式ガイドでも、指示と資料を記号などで分けて書く方法が勧められています。
あなたは総務担当です。 以下の会議メモを、社内共有用の議事録にまとめてください。 ■形式 ・最初に「決定事項」「担当者」「期限」の表 ・その下に、話し合いの要点を箇条書きで5つまで ・メモにある内容だけを使う ---会議メモここから--- (ここに会議メモを貼り付ける) ---会議メモここまで---
区切りを入れておけば、AIが指示と資料を取り違える心配を減らせるでしょう。決定事項・担当者・期限を表で出してもらうと、会議後の確認作業も楽になります。参加者の氏名などを含むメモを貼る前には、後半で紹介する安全な使い方も確認しておくと安心です。
見積書送付の案内文
見積書を送るときの案内文も、型に当てはめれば下書きがすぐ整います。
あなたは工務店の事務担当です。 見積書をメールで送るときの案内文を作成してください。 ■背景 ・相手:初めて問い合わせをくれた個人のお客様 ・内容:外壁塗装の見積書をPDFで添付する ・金額:〇〇円(金額は後から入れます) ・目的:不明点を気軽に質問してもらいたい ■形式 ・200字程度、丁寧でやわらかい口調 ・質問の受付方法を最後に1行
金額の欄を「〇〇円」のままにして、送る前に人が正しい数字を入れる流れにしている点がポイントです。数字や名前を伏せて使う方法は、後半の安全な使い方で詳しく紹介します。定型の案内文は一度うまくいけば何度でも使い回せるので、保存しておくと便利です。
思った答えが返ってこないときのプロンプトの直し方
型を使っても、1回で思いどおりの答えが返ってくるとは限りません。ズレたときは、症状から足りない要素を探すのが近道です。
症状別の直し方早見表
Googleのガイドでは、結果が思わしくないときは会話を続けて補足や調整をする方法が紹介されています。最初から完璧な指示文を書こうとせず、同じ画面で一言ずつ足していけば十分です。よくある症状と、足りない要素、足す一言の例を表にまとめました。
| 症状 | 足りない要素 | 足す一言の例 |
|---|---|---|
| どこかで見たようなありきたりな答え | 背景 | 読む人は60代の常連客が中心です |
| 長すぎる・短すぎる | 形式 | 300字以内にまとめてください |
| 目的とずれた的外れな答え | 目的・理由 | 見積の検討を進めてもらうための文章です |
| 口調が硬い・軽すぎる | 役割・形式 | 町の工務店の担当者として、やわらかい口調で |
| 数字や事実が怪しい | 人の確認 | AIに直させず、公式資料や社内の記録で裏を取る |
表の最後の行だけは、指示文を足しても解決しません。生成AIはもっともらしい誤りを書く場合があるため、数字・日付・固有名詞は必ず人が確かめてください。症状を見て足りない要素を足す流れに慣れると、聞き直しの回数そのものが減っていきます。
指示文が書けないときにAIを頼る方法
何を書けばよいか自分でもまとまらないときは、AIに手伝ってもらってかまいません。頼り方は大きく2つあります。1つ目は、必要な情報をAIのほうから質問してもらう頼み方です。
取引先へのお礼状を作りたいです。 よい文面にするために必要な情報を、1つずつ質問してください。
AIからの質問に答えていくうちに、自然と4つの要素がそろっていきます。2つ目は、自分で書いた指示文をAIに見せて、改善案を出してもらう方法です。Googleのガイドでも、Google Geminiにプロンプトの改善案を出してもらう使い方が紹介されています。
次の指示文を、生成AIにもっと伝わる書き方に直してください。 足りない情報があれば指摘してください。 (ここに自分の指示文を貼り付ける)
どちらも、書く前に悩む時間を短くしてくれる方法です。うまく書けない日ほど、AIに聞き返してもらう使い方が役立ちます。
プロンプトを安全に使うための注意点
便利だからといって、何でも貼り付けてよいわけではありません。会社と取引先を守るために、入力前と使う前の確認ポイントを押さえておいてください。
入力してはいけない情報
個人情報保護委員会は2023年に、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しました。公表時点の注意喚起では、個人情報を含む内容を入力する際の注意点が示されています。社内で入力を控えたい情報の例はこちらです。
- 顧客の氏名・住所・電話番号
- 従業員の個人情報や人事評価
- 取引先との契約条件や単価
- 公開前の新商品や社外秘の数字
入力した内容がAIの学習に使われるかどうかは、サービスの種類や設定、契約内容によって異なります。使っているサービスの公式サイトで、入力データの扱いを事前に確かめておくのが確実です。
伏せ字や仮名に置き換える書き方
入力してはいけない情報があっても、伏せ字や仮名に置き換えれば生成AIは十分に使えます。置き換えの例を表にまとめました。
| 元の情報 | 置き換えた入力 |
|---|---|
| 取引先の会社名と担当者名 | A社の担当者様 |
| 見積金額 | 〇〇円 |
| お客様の住所や電話番号 | 入力しない |
| 公開前の商品名 | 新商品X |
AIが作った下書きに、送る直前で人が本当の名前や数字を戻せば、文面の質は落とさずに済みます。先ほどの見積書の例文で金額を「〇〇円」にしていたのも、同じ考え方です。置き換えのルールを社内で決めておくと、誰が使っても同じ安全さを保てます。
使う前に人が確認するポイント
Googleのガイドが求めているのは、AIの出力を業務で使う前に明確さ・関連性・正確性を確認する作業です。最終的な成果物の責任は、AIではなく使う人にあるとも書かれています。送信や公開の前に目を通したいのは、主にこちらの3点です。
- 数字・日付・固有名詞の正しさ
- 相手に失礼のない言い回し
- 自社の方針と食い違う内容の有無
最後に人の目を通すひと手間が、取引先からの信頼を守ります。AIの下書きは、新人が書いた初稿と考えるくらいがちょうどよい距離感です。
うまくいったプロンプトを社内で使い回すコツ
一度うまくいった指示文は、会社の財産として残せます。社内で使い回せば、誰が頼んでも同じ品質の下書きを手にできるはずです。
指示文を保存して使い回す方法
うまくいった指示文は、メモアプリや共有ドキュメントに場面ごとに保存しておいてください。次に使うときは【 】の部分だけを書き換えれば、毎回ゼロから考える手間がなくなります。Google Geminiの「Gem」のように、指示文をあらかじめ登録しておける機能を使う方法も便利です。Gemの作り方は「Gemini Gemの作り方と中小企業での活用例」で手順を紹介しています。なお、Googleのヘルプによると、個人向けアカウントのGemは2026年11月から「スキル」へ移行する予定です。保存先を1か所に決めておけば、必要なときにすぐ取り出せます。
社内で型をそろえる進め方
社内で使う型は、最初から完璧にそろえる必要はありません。進め方の一例はこちらです。
- よく使う業務を1〜2つ選ぶ
- 担当者が型を作って共有する
- 使った人の工夫を月1回持ち寄る
- よくなった型に更新する
小さく始めて少しずつ型を育てると、特定の人しか使えない状態を防げます。どの業務から型にするか、社内にどう広げるかで迷う場合は、外部の力を借りるのもひとつの方法です。
まとめ
プロンプトの書き方のコツは、AIを事情を知らない新入社員と考えて、役割・作業・背景・形式を伝えるところにあります。目的や理由をひと言添え、ズレたら症状に合わせて足りない要素を足していけば、答えは少しずつ仕事で使える形に近づくはずです。個人情報や社外秘は伏せ字に置き換え、使う前には必ず人の目で確認してください。
まずは場面別の例文を1つコピーして、自社の言葉に置き換えて試してみませんか?ツール選びに迷ったら「生成AI比較|ChatGPT・Gemini・Claudeは用途で選ぶ」で使い分けを確認できます。使い始めたばかりの方は「生成AI 経営者の始め方|挫折しない最初の1週間ロードマップ」も役立つはずです。
YM企画は、静岡県伊豆の国市を拠点に中小企業のAI導入を伴走支援しています。社内への広げ方や、どの業務から生成AIを取り入れるかで迷ったら、30分の無料相談をご利用ください。
30分無料の「AI活用相談」受付中
「AIに聞いても、ありきたりな答えしか返ってこない」「うまくいった指示文を社内にどう広げればいい?」
使い方がまだ固まっていない段階でも、今の困りごとを話すところから一緒に整理できます。LINEなら、気になったときに一言送るだけでも大丈夫です。
元・現場管理の代表夫婦が直接お答えします。


